「夫のお金で買い物するのが、なんだか息苦しい」
そんな感覚を、誰かに話したことはありますか? 私は、長い間ありませんでした。
だって、贅沢な悩みのように聞こえるから。 夫が稼いでくれて、生活できていて、文句を言ったらバチが当たる。 そう思って、自分の中の小さな違和感を、何度も飲み込んできました。
でも、ある日気づいたんです。 これは、夫が悪いわけじゃない。 私が我儘なわけでもない。 ただ、「自分で稼ぐ」って、お金以外の何かを満たしていたんだなって。
今日は、その「何か」の正体を、私なりに言葉にしてみようと思います。 同じ気持ちを誰かに話せずにいるあなたに、少しでも届いたら嬉しいです。
夫のクレジットカードで買うコーヒー、なぜか喉に詰まった日
ある日、いつも通りカフェに入って、好きなラテを注文しました。 お会計の時に、夫から渡されたクレジットカードを出して、サインをして。
席に戻って一口飲んだ瞬間、なぜか、喉に詰まったんです。 味は変わらないはずなのに、いつもより甘く感じない。 窓の外を見ながら、ぼんやりと思いました。
「私、このラテを、自分で買ったわけじゃないんだな」って。
夫は何も言っていません。 「好きなもの飲んでいいよ」っていつも言ってくれます。 それなのに、なぜか、心の奥が少しだけ重い。
その日からなんとなく、お会計のシーンで自分の感情がざらつくようになりました。
夫は何も言わないのに、なぜか居心地が悪い理由
私が居心地の悪さを感じる時、夫は決まって優しいんです。
「気にしすぎだよ」 「家族のお金なんだから」 「君は家のこと全部やってくれてるんだから当然だよ」
全部本心で言ってくれていることは、わかっています。 夫を責めたいわけじゃない。本当に、感謝してる。
でも、その感謝とは別のレイヤーに、私の中の「居心地の悪さ」がありました。
ある時、ふと気づきました。 これは、夫がどう接するかの問題じゃないんだ、って。
「お金を稼ぐ」ことが、私の中で、もう一つ大きな意味を持っていたんです。
「自分で稼ぐ」って、お金以外の何かを満たしていた
会社員時代の私は、毎月給料日が来るたびに、当たり前のように自分の口座にお金が振り込まれていました。 特別嬉しいわけでもなく、ただ「働いた分が入ってきた」という、淡々とした感覚でした。
でも、専業主婦になってから気づいたんです。 あの「淡々と振り込まれていたお金」が、私にとって、ものすごく大切なものだったってことに。
それは、お金そのものというより、
- 自分が誰かの役に立っている、という証拠
- 社会の中に自分の居場所がある、という感覚
- 自分の時間と労力が、価値あるものとして認められている、という実感
そういうものを、毎月の振り込みが、無言で教えてくれていたんです。
専業主婦になって、それが全部、消えていました。 家事も、育児も、確かに価値ある仕事です。 でも、それは「お金」という形では、私の手元に入ってこない。
だから、夫のお金で買い物するたびに、なぜか感じる小さな違和感の正体は、こうだったんだと思います。 「私の労力が、ちゃんと社会から認められているか、わからない」 そんな、誰にも責められない、でも確かにある、内側の問いかけでした。
ATMで自分のお金を引き出せた日に感じたこと
在宅ワークを始めて、初めて自分の口座にお金が入った日のことを、今でも覚えています。
金額は、本当に小さなものでした。 正直、夫の月収の何分の一にもなりません。 それでも、ATMの画面に表示された数字を見た時、なんだか目の奥がじんわりしたんです。
「私のお金だ」って、思いました。 誰にもらったわけでもなく、誰に申し訳なく思う必要もない、私が動いて手に入れたお金。
その日の帰り、ふらっとカフェに寄って、また同じラテを頼みました。 財布から、自分が稼いだ分の中から、自分で支払って。 飲んだラテは、いつもより少しだけ甘く感じました。
味は変わらないはずなのに、不思議ですよね。
自分のお金で買えると、世界が変わる小さなもの3つ
それからの私は、少しずつ、自分のお金で買えるものが増えていきました。 大きな買い物じゃない、本当に小さなことです。 でも、その小さなことが、私の世界を確実に変えてくれました。
1.コーヒー1杯
家でインスタントを淹れて、節約することもできます。 でも、出先でちょっと疲れた時に、ふらっとカフェに入って、誰にも気を遣わず、自分のお金で1杯のコーヒーを飲む。 それだけで、肩の力が抜ける感覚があるんです。
2.子どもへの「ちょっと良いもの」
スーパーで子どもが「これ食べたい」と言った時、いつもより少し高いおやつでも、迷わずカゴに入れられる。 家計に響かない範囲で、自分のお金で買ってあげられる。 子どもにとっては気づかない違いかもしれないけど、私にとっては、大きな違いです。
3.自分だけの本
「これ読みたい」と思った本を、夫に何も言わずに買える。 ビジネスに役立つ本でも、ただ気になっただけのエッセイでも、自分の判断で、自分のお金で。 本棚に並ぶ「自分が選んだ本」を眺めるのが、ささやかな喜びになりました。
「心地よく稼げる」暮らしを始めた今思うこと
今の私は、心地よく稼げている、と感じています。
金額の大小じゃないんです。 バリバリのキャリア時代みたいに、自分を追い込みながら稼いでいるわけじゃない。 でも、確かに自分の手で稼いでいて、自分のお金がある。 その感覚が、毎日を少しだけ豊かにしてくれています。
夫は今も優しいです。 「好きなもの買っていいよ」って、今でも言ってくれます。 でも、私はもう、その言葉に少しだけ頼りすぎなくて済むようになりました。
「ありがとう、でも今日は自分で払うね」 そんなふうに笑顔で言える日が来るなんて、専業主婦になりたての頃の私は、想像もしていませんでした。
同じ気持ちを抱えているあなたへ
もし今、あなたが、
- 夫のお金で買い物するのが、なんだか息苦しい
- 「贅沢な悩み」だと自分に言い聞かせて、誰にも話せずにいる
- 夫は優しいのに、なぜか心がざらつく日がある
そんな感覚を抱えているなら、あなたは決して我儘じゃないと、私は思います。 ただ、「自分で稼ぐ」ことが、あなたの中で大切なものを支えていただけなんです。
その大切なものは、お金を稼ぐ以外の方法でも、きっと取り戻せます。 でも、もし「自分で稼ぐ」ことを選びたいなら、その気持ちは、誰にも責められない、まっすぐな願いだと、私は思っています。
私自身、たくさん遠回りをしてきました。 失敗もしてきたし、今もずっと試行錯誤の途中です。 でも、「自分のお金がある」その感覚は、確かに私の暮らしを変えてくれました。
同じ気持ちのあなたが、いつか、自分のお金で買ったコーヒー1杯に、ちょっと嬉しい気持ちになれる日が来ますように。
なぎ